個性的!ものづくり企業

植物油でつくる生活必需品――ヤスハラケミカル

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 「ヤスハラケミカルって何をしている会社か、ほとんどの人が知らないでしょう(笑)」「こういう記事って、いいこと書きたがるけど、良い面ばかり書かないでね」と、気持ち良いぐらいサッパリと担当者は話す。国内唯一であり、世界2位のシェアを持つテルペン樹脂の会社、ヤスハラケミカル(広島県府中市)。

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 「真面目でコツコツ、素直さが一番」という独自の社風にあった人材を採用し続けた結果、離職率は低く、平均年齢は43歳だ。同社は、松の木や、オレンジの皮などに含まれる植物精油テルペンを用いた工業燃料を製造する。粘・接着剤、ゴム・プラスチック改質剤、香料原料、洗浄剤、電子材料、医農薬原料など、様々な分野の中間燃料として使用されている。テルペンは、中国・南米などから輸入され、同社で付加価値の高い製品へと加工。国内はもとより米国、ヨーロッパ、アジアなど海外にも輸出している。生産拠点を国内に置くこと高い品質を保証しながら世界と取引をする。

 創業者である安原弘(やすはらひろむ)さんは、戦後、縁あって松根油製造を学んだ。戦後の中国地方は松林が多く、松根油製造は盛んで、たくさんの松根油製造工場があった。しかし、時代とともにテルペン化学は衰退していった。創業以来、天然由来のテルペンを原料に安全で高品質な製品を製造、供給してきた経験と技術力が、テルペン化学製品メーカーとして世界的に高い評価を得た。

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 テルペン化学のみを追求していった結果、世界有数のテルペン樹脂メーカーになったことは、同社にとっての強みである一方で、それは弱みにも転じる可能性も秘めている。そのことを踏まえ、採用担当者は面接時に「世界に数社しかない会社だが、マーケットとしては大きくない」と、シビアな面も話すことを忘れない。

 社内は、研究開発、営業、製造、事務系の4つに分類。テルペンという貴重な天然原料と化学技術を融合させ、顧客の課題やニーズに対応して、いかに新しい製品、用途を生み出すか。今後、製品の応用分野は、環境・エネルギー関連、情報技術関連分野へと広げていく。
 
 
ヤスハラケミカル株式会社
広島県府中市高木町1080
売上高:120億8400円
従業員数:262
 
※ この記事は、広島県府中市「WORK & LIFE GUIDE BOOK 2019-2021」(2018年11月発行)を再編集したものです。

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