家具メーカー向けの合板機械の製造販売を目的に創業して約60年。合板プレスで使用する油圧ユニットを転用し、搬送機械の分野に進出。さらに、成形技術を進化させ、スマートフォンやタブレット端末、自動車用の電子部品など多様な電子機器に内臓されているプリント基板を製造するためのプレス機を開発し、今では北川精機(きたがわせいき、広島県府中市)の主力製品となっている。
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パソコン内部などで、細かい部品がひしめき合う緑色の板を見たことがある人もいると思うが、これがまさにプリント基板で、電子回路の組立に不可欠な部品だ。わずかな空気が入るだけでも不具合が起きてしまうため、加工するプレス機にも繊細な技術が必要となる。そんな重要な役割を担うプレス技術を支えるのは、「温度」「真空」「圧力」「動作」を制御するテクノロジー。この4つの技術を融合させた制御システムがベースとなり、高い評価を受けている。
特に、プリント基板の材料となる銅張積層板を成形するプレス装置「CCLプレス」は、真空化を可能にしたことで、劣化が少なく高品質な成形ができると海外の顧客から発注が来るほどだ。
また、近年、業界からの注目を集めているのが、炭素繊維強化樹脂の成形が可能なプレス装置を開発し、発表したことだ。炭素繊維を使った素材は、軽くて鉄を越える強度があるため、次世代の軽量化素材としてメーカーがしのぎを削って研究開発している。その新素材を成形できる装置が開発されたとあって経済誌でも期待大の声が上がっている。コストが高く成形に時間がかかるなど、普及までに解決すべき課題もある素材だが、大きな可能性を秘めた分野だ。
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北川精機は、確かな技術力と柔軟な発想力で、顧客からの要望に応える商品提案を行ってきた。心がけているのは、ここの部品の精度を究極まで上げていくこと。
2016年度からは、社員のモチベーションを上げていくためのセルフチャレンジ制度を導入。製造技術のスキルアップだけでなく、一人ひとりが能力を如何なく発揮できるような職場づくりにも取り組んでいる。
北川精機株式会社
広島県府中市鵜飼町800-8
売上高:35億7900万円
従業員数:121人
※ この記事は、広島県府中市「WORK & LIFE GUIDE BOOK 2019-2021」(2018年11月発行)を再編集したものです。