個性的!ものづくり企業

名器ターンテーブルはここで生まれる――池田工業

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 2016年1月に米国ラスベガスで行われた世界最大の家電見本市で、世界で初めてダイレクトドライブターンテーブルを生んだテクニクスが、SLシリーズを復活。テクニクス50周年記念モデル「SL1200GAE」は、予約開始30分で完売した。

 そのSLシリーズのターンテーブルを、たった1社が加工している。それが池田工業(いけだこうぎょう、広島県府中市)だ。

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 1956年にリョービの協力工場として創業。精密機械加工を生業とする。現在の取引先は、リョービをはじめ、金属具品製造会社のキャステムやキングパーツなど。取り扱いの割合はアルミのダイカスト(金型を使って鋳物を大量生産する方法)が8割、ロストワックス(ろう製の模型から耐火性粉末を固めた鋳型を作り、鋳造する方法)が2割だ。

 この2本柱で自動車部品、防衛機器部品、新幹線車両部品のほか、食品製造用、医療用の機器部品などを手掛ける。自動車部品は、本田技研工業、スズキ、日産自動車、日野自動車、三菱自動車工業などの大手メーカー向け。同社の製品は世界で活躍する日本製品を支える。

 1972年から2009年までレコードプレーヤーメーカーのターンテーブル加工に携わり、時代の変化とともに一旦終了したものの今回の復活。長年のノウハウと精度の高さが「この製品を作らせたらここ」と名指しを受けた。

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 「削るプロ」。創業以来、真摯に技術を磨き、製品の精度を上げてきた。その何十年もの経験と技術は従業員に伝承され、池田工業は難易度の高い仕事ができる、と定評を得た。アルミだけでなくステンレスや銅をも削る技術がある。

 仕事は、ロット数の多い大口注文がほとんどで、24時間体制で対応。生産能力の高さも信頼されるひとつだ。トップをはじめ従業員の意識も高く、得意先からのクレームが30カ月ゼロという実績もある。この社風が、成長へとつながる。2018年7月には第2工場が完成した。

 働き方は、加工作業やプログラミングなど「多能工」的。そうすることでスキルアップになる。「やる気、やる腕、やる環境。この3つがそろって、大きな仕事ができる社員へと成長する」と山岡政敏(やまおかまさとし)社長。新しく入ってくる社員に経験は問わず、未経験者でも歓迎する。
 
 
池田工業有限会社
広島県府中市目崎町343-2
売上高:3億8000万円
従業員数:48人
 
※ この記事は、広島県府中市「WORK & LIFE GUIDE BOOK 2019-2021」(2018年11月発行)を再編集したものです。

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