個性的!ものづくり企業

一流の書家たちが期待する名脇役、額装――大昌

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 1967年創業の大昌(だいしょう、広島県府中市)は、額縁、掛け軸、屏風などの企画、製造販売を手がける老舗メーカーだ。

 額縁は、書や絵画など美術作品の引き立て役として、目立たないけれどなくてはならない存在。職人が一つひとつ丁寧に作り上げるハンドメイドの製品は高品質で、特に、角を丸く削した「隅丸額」は、国内の額縁メーカー随一の製造本数を誇っている。

 顧客には、著名な書道家や芸術家、美術品愛好家も多く、色や素材、形など要望を伝えるためにわざわざ工場まで足を運ぶ人も。満足度の高い仕上がりの製品は口コミで広がり、目の肥えた専門家からの注文はもちろん、書道分野では全体の7、8割のシェアを占めているという。

 マレーシアの工場で量産品や半加工品を製造する一方、オーダーメイドの注文に対しては本社工場で取り扱う。ヒアリングを重ね、ノウハウを駆使した「これぞ!」という一案を提示する。出来栄えは、顧客の反応で一目瞭然。「それだけにお褒めの言葉をもらえたときは喜びもひとしお」と山本類三郎社長。ものづくりのプロとしてのプライドを感じる瞬間だ。

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 最近は、思い出のユニフォームや、着物の帯を中に入れて飾れる特殊な木製額、ペット用の「供養祭壇」、工芸品のような「創作塗装」など、これまでの額装の範囲を超える数々の新商品を発表した。

 帯専用の額は、もう身に着けることがないけれども手離す気にはなれない大切な一品を、傷つけることなく室内の装飾品として活用するためのものだ。専門技術がなくても入れ替えができるようなつくりになっている。

 これらは顧客の声だけでなく、各部署の社員の発想から生まれたというから驚きだ。東京インターナショナル・ギフト・ショーなどへも積極的に出展している。これまで培ってきた伝統的な技術をベースに新しい分野を開拓し、多様なニーズに応えようと、業界の垣根を越えた取り組みも進めている。

 チャレンジ精神で新たな可能性に挑む大昌。創造的なものづくりをしたいという意欲のある人に格好の職場環境だ。


株式会社大昌
府中市上下町上下1513-1
売上高:8億円
従業員数:100人

※ この記事は、広島県府中市「WORK & LIFE GUIDE BOOK 2019-2021」(2018年11月発行)を再編集したものです。

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