個性的!ものづくり企業

ラジコンヘリの、次の感動!――ヒロボーグループ

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 従業員が口をそろえて、自分の会社の魅力は「人である」と答える。市民にとっては、夢に向かって新しい価値を創造し続けるヒーロー的な存在。ヒロボー(広島県府中市)グループはホビー用・産業用の小型無線航空機、プラスチック製品、エレクトロ二クス機器製造などを行う会社だ。

 ヒロボーといえばラジコンヘリコプター、という認識を持っている人が多い。だが、その事業を下支えしているのはプラスチック成形部門と電気機器部門。時代背景と消費者ニーズの変化に併せ、事業構造は変わっても、「誠実と和、いかにお客様に喜んでいただくか、感動していただくか、美しいものを作っていくか」。このスピリットは変わらない。

 プラスチック成形加工・販売の「モールド」部門は、射出成形で設備などの部品を製造。真空・圧空成形で、食品、医療品、化粧品のトレイを加工している。味の素、江崎グリコ、資生堂、デンソー、ホーユー、三菱電機など、皆さんが耳にしたことのある大手企業向けの製品を加工、製造しているのだ。チョコレートの粒を乗せたトレイを思い出してほしい、粒がほどよく収まった窪みや、トレイの裏側を指で押し出すとチョコレートが飛び出す仕組み、子どもたちの目を引くカラフルな入れ物。それらは、単に注文を受けて製造しているのではない。

 担当営業スタッフは、顧客企業と企画段階から関わり、ターゲット層、価格帯、顧客企業の工程改善を含めたコストダウンを念頭に、設計や形状などの提案をする。食品トレイなら、時には食品を口にして、食品の大きさまで提案を行う。食品メーカーにとっても、商品の付加価値をさらに高めるため、トレイづくりと一体になった開発が欠かせない時代になった。そのトレイづくりのノウハウが高い評価を得て、増収増益を果たしている。

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 実は、増収増益、業務の効率向上の大きな要因になっている社内行事がある。「100kmウォーキング」だ。この行事が始まったきっかけにはドラマがあった。2009年にプラスチック成形部門の社員たちが、3代目社長の松坂晃太郎(まつさかこうたろう)さんに「新工場を建ててほしい」と申し出た。食品用のプラスチック成形に本腰を入れるため、クリーンな工場が必要だという社員らの懇願だ。その時、社長から本気度を試されたのが、愛知県の「三河湾チャリティー100km歩け歩け大会」への参加だった。100kmという気の遠くなるような距離を歩く。初参加で完全完歩は無理だろうと誰もが思った。

 ところが同社から参加したプラスチック部門チーム7人は、初回で全員歩き切ったのだ。社員の事業にかける思いは見事、社長の心を動かし、新工場建設へと導いた。

 100km歩いた社員たちはそれ以来、大きく変わり、営業成績がぐんぐん上がり始めた。ラジコンで世に名を上げたヒロボーが、新たな時代を迎えたといっても過言ではない。チームで参加し、完歩を目指すこの行事は、自ずと連帯感を強め、支え合うことの本当の意味を体感し、感謝力を高めるという理由から、同社の人材育成メニューの一つに加わった。もちろん希望者のみの参加で、強制ではない。

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 ラジコンヘリ部門は、夢へ向かって飽くなき挑戦を続けている。ホビー用無線操縦模型は、同軸反転の先駆モデル「XRBシリーズ」で発砲ブレードを採用し、安心・安全なヘリを市場へ提供した。このコンセプトは「SRBクオークシリーズ」へ引き継がれ、また新次元のフライトを楽しめる「レプトン」や、ドイツの3Dパイロット、ドミニク・ヘーゲル選手と共同開発した究極の3Dマシーン「タービュランスD3 V2」など、マニアにはたまらない機種を生み続け、夢を応援する。

 産業用無人ヘリコプター・産業用無人航空機は、同社がこれまで培ってきたRCヘリコプターの技術を結集し、最大離陸重量100kg級の電動無人ヘリコプター「HX-1」を開発した。現在、HX-1をべースに小型・軽量化した機体「HX-2」を開発中。パイプフレーム構造を採用することで、用途に応じ、搭載機器に合わせた変換ができる。農薬散布や、大規模火災における消火活動時の測定用として、実用化へ向けた取り組みが進められている。また、2012年の国際航空宇宙展に同社が出展した電動有人小型ヘリコプターのコンセプトモデル「bit」は、人命救助を担う可能性を秘め、さらなる大きな夢を抱かせる。

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 夢を持ち、遊び心を大切にする社風は、福利厚生にも表れている。ヒロボーグループには現在10以上のクラブ活動が存在する。ボーリング、ヨガ、ソフトボール、サッカーのほか、スポーツ観戦部や海雪空部などもあり、運動や趣味でリフレッシュするする環境がある。会社からは部費が支給される。部員のコミュニケーションに役立ち、部署や年齢、役職の域を越えた関係を築くことができる。もちろん任意参加で、約200人が入っている。

 会社の敷地内には創業以来、託児所が併設され、女性が働きやすい環境も充実。社員手帳には2016年度方針として「有給休暇取得、残業・休日出勤を減らそう、昇給2%、年間賞与4カ月以上達成」の文字が明確に掲げられている。

 「世の中にないものを作ればお客様は必ず感動してくれる」。効率よりも思いを優先することを意識しながら出来上がった製品は、安全・安心だけでなく、関わる人に夢と感動を与える、そんな企業である。
 
 
ヒロボーグループ
広島県府中市本山町530-214
売上高:66億400円(連結)
従業員数:450
 
※ この記事は、広島県府中市「WORK & LIFE GUIDE BOOK 2019-2021」(2018年11月発行)を再編集したものです。

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